6500mまで潜水できる!?「しんかい6500」とは

しんかい6500とは、三菱重工が建造し、日本が管理する有人潜水調査船だ。
6,200m~6,500mの超深海層まで潜水することができる。この高度まで潜ることができる船は世界で7艇しかない。

そのひとつである「しんかい6500」が潜水した数は1500回以上。人身にかかわる事故は一度もなく、安全と信頼性が評価されている。
しんかい6500のくわしい仕組みや、操縦士たちの一日、しんかい6500の成果を見ていこう。

しんかい6500の仕組みはどうなっているの?

しんかい6500は支援母船「よこすか」によって潜水する地点まで運ばれる。
クレーンのようなもので持ち上げて、海面に静かに降ろす
支援母船から離れたあと、ゆっくりと、しんかい6500は海に沈んでいく。

しんかい6500が潜水する仕組み

物が水の中に沈んでいく仕組みを知っている?
浮袋があると浮くように空気があると沈まない。空気を抜くためには、浮袋のなかを何かでいっぱいにしなければいけない。
そのため、しんかい6500は機械の外側に水を取り込めるタンクがある。沈むときは、タンクに海水を一杯にして沈む。さらにおもりも身につけている。
けれど、沈むばかりでは海のなかを自由に動くことはできない。
浮力材もたくさん積んでいて、海のなかで調整し、浮きながら海中を移動する仕組みだ。

球体のコックピット

海では潜るほどに重い水圧がかかり、簡単に物がペシャンコになってしまう。
そんな重い水圧に影響されないように、コックピットは内径2.0mの球(耐圧殻という)の中にある。
球のかたちが最も圧力に強い形状だからだ。ゆがみがない、完全な球体ほど圧力に強くなる。

とくに深海のような水圧ではわずかなゆがみが命取りだ。
しんかい6500のコックピットの球はできるかぎり完全な球体に近づけていて、外径はわずか±2㎜以下という超精密につくられている。
素材は軽く、塩や圧力にも強い「チタン合金」製。

そのほかコックピットには海中を見ることができるのぞき窓がついている。のぞき窓は3つ装備されていて、乗員はこの窓から海中を見て操縦したり調査をしたりする。
のぞき窓は海底の水圧や、水圧によってできる耐圧殻のわずかな変形にも柔軟に対応できるように、厚さ138㎜のメタクリル樹脂でできている。
とても精度の高い技術によって、乗員たちは無事に潜水でき、減圧症の心配もないのだ。

しんかい6500の乗員たち


しんかい6500は、①パイロット(船長)②コ・パイロット(副操縦士)、③研究者など観測者あわせて3人乗り。
2m内径のなかに大人3人となると、肩を寄せ合って過ごさないといけない。
しんかい6500には席がない。多くは寝そべっているか、またはのぞき窓を見るためにハイハイのような姿勢をとっている。
乗員たちはどれほど潜水するのか、どのような仕事をしているのかを知ろう。

潜水時間は約9時間

朝7時に作業開始。潜航前チェックをしたあと、8時20分にしんかい6500に乗り込む。
潜水船を支援母船よこすかの格納庫から引き出し、クレーンをつかって着水させ、最終確認が終わるまで約40分。
そして9時に潜航をはじめる。
毎分40mの速さでしんかい6500は潜っていく。潜水中、乗員たちは揺れなどを感じず、下に沈んでいく感覚もないという。
その状態のまま、最深6,500㎞に到達するまでは約2時間半かかる。調査が終わって引き上げられるときも約2時間半。
しんかい6500が海中にいる時間は「8時間」と決められているので、移動時間を引いて、深海での調査は約3時間ほどだ。操縦士は研究者などの指示にしたがって、貴重なサンプルをとったり、海底を観察したりする。

乗員は○○に注意

・約9時間トイレはない
・可燃性のある素材は身につけてはいけない
・化粧、ワックス、整髪料はつけない
・約2℃の寒さ

携帯トイレは持ち込みできるが、ほかの人が密集しているなかでは厳しい。我慢して慣れる人もいれば、オムツをはいている人もいる。
口紅やワックスは、発火性のある油脂が使われているので厳禁。
フリース素材など化学繊維も静電気が発生しやすいので、持ち込めない。
そして約2℃の寒さ。潜航服は厚めにつくられているが、それでも寒いと感じるかもしれない。静電気が発生しにくく、引火性のない素材の服を下に着よう。

コワいトラブルは電源喪失や海底拘束

しんかい6500は潜水回数1500回以上あるが、人身に関わる事故は一件も発生していない。
けれど長い歴史のなか、ヒヤッとしたトラブルや、操縦士がおそれていることはある。
操縦士が語る、こわいトラブル(不具合)のひとつは電源喪失。過去に数回だけあった。
海底を照らすライト、コックピット内の照明、モニターなどすべての電源が落ちて、真っ暗になる。
潜水船に初めて乗った研究者はパニックを起こしてしまうだろう。

「故障した? 陸に戻れなくなる?

緊急時は、緊急用のバッテリーに切り替わって、必要最低限の機器だけ起動される。船についたおもりが自動的に離されて、浮上するようになっているから安心だ。

ただ海の中を照らすライトは点かないため、もし最深部にいたなら2時間半、上がっているのか下がっているのかわからない、とてつもなく不安な状況に長時間たえないといけない。操縦士の説明があったとして、安心できるだろうか?

もうひとつは海底拘束。人工物や泥など障害物に当たり、海底で動けなくなること。
今までしんかい6500には一件もないが、最もこわいトラブルだ。
過去に、訓練中に泥の急斜面にはまって抜け出せなくなったことがあった。
その場合は最終手段である「おもりを捨てる」などして、なんとか浮上することができた。

また海底にはロープやスーパー袋など人工物が落ちている。
これらがスクリューにからまったり、機械の一部に引っかかったりしてしまうと非常に危険だ。母船が上から引き上げることもできないし、おもりを捨てても浮上できなくなるかもしれない。
操縦士たちはとくに人工物に気をつけて、海底を探索している。


2016年、しんかい6500は、水深4,204mにあったクロミングクジラの骨を発見した。クジラの骨には深海生物や微生物が群がっていて、そのほとんどが新種の可能性が高い。
新種は41種もあり、歴史的な大発見だ。

そのほか1991年、地震のメカニズムを解き明かすカギとなる「太平洋プレートの亀裂」を世界で初めて発見した。2011年にも巨大地震の影響と思われる、大きな亀裂を水深5,350m地点で確認している。

これらは水深5,000m超えの大深度のため、日本の有人潜水調査船では「しんかい6500」でしか発見できない。

深海にはまだまだ謎が残っている。しんかい6500や、さらに「しんかい12000」が活躍すれば、世界を驚かすほどの生物や景色を見られるだろう。

しんかい6500についてくわしく知りたい人は以下を見てみよう。

JAMSTEC しんかい6500ホームページ

地球最後の秘境・深海はどんな世界?‐しんかい6500パイロットに聞いてみた

有人潜水調査船「しんかい6500」紹介ムービー(YouTube)

生命の限界に迫る 「しんかい6500」世界一周航海 QUELLE2013 ダイジェスト(YouTube)

画像:http://www.jamstec.go.jp/gallery/j/ship/6k/003.html

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