今こそ耐え忍ぶ時…忍術を知るの巻

「火遁!ごうかきゅうの術!」ほどに派手でもなく、むしろ人との接戦を極力避け、影の中で生きてきた忍者。基本的に一人で動き、マスク常備、ウィルス予防バッチリだ。
人との接触を極力避けたい今こそ、忍術を知るの巻。

察天・察地・察人術

忍術・情報収集

忍者とは「諜報」と「暗殺」を兼ね備えたものであり、なによりも情報収集術に長けていないといけない。当時はインターネットがなかったために、人の足こそが回線だった。

忍者はまさしく5G――。素早く確かな情報をお届けする。
忍者がつかっていた情報収集の術を「察天・察地・察人術」という。

自然にあるもので方角・時間を知る

忍者はスマホがなくても、正確な時間・方角・天候を知ることができた。私たちが「Hey Siri、明日の天気は~?」と聞いているうちに、忍者はSiriよりも早く自分で正解を見つけるのだ。

気象・天文に関する知識が豊富であり、月の満ち欠けや星座の位置などを見て方角を判断したり、天候を予測したりした。

また昼はネコの目を時計代わりにしていたという。ネコの瞳は明るいほどに細くなり、暗くなると丸くなる。そのわずかな動きを見て時間を把握する。
このように天候や方角、時間を知るのを「察天術」という。

地形の情報を得る

天のつぎに、地形の情報を集めるのが察地術。

戦があるとき、敵国の地形を先に知っておくのはとても重要なことであり、戦略の基本だ。
新しい店を建てるとき、その街を事前調査するのと同じ。自店がどういう風に動けば繁盛するのか、他店(敵)がどのような動きをしているのかを知っておく。

しかし、素人が敵国に入り、地形を調査をするともちろん怪しまれる。そこで自然溶け込み、情報収集ができる忍者が重宝された。

当時は、とくに敵国の陣地に田んぼがある場合、湿田かどうか、深さはどのぐらいかを先に知っておくことが大切だった。軍勢の進路に深い湿田があると、攻め入るときに足をとられ、動けなくなるからだ。戦わずにして負ける可能性もあるので、地形の情報収集は戦時こそ欠かせないものだった。

人に紛れ、人を調査する

察人術

人の調査である「察人術」もまた戦況を大きく変える。
その土地の人間に自然と溶け込み、人のウワサ話を聞いたり、統治者の評判や内政、民衆などを含めた国力を調査したりする。行商人や僧侶などに変装しておこなうことが多かった。

忍者の変装がまわりにバレにくかったのは、化粧が上手かったからでもなく、怪盗キッドのようなボディチェンジでもない。

忍者には「人相見」という能力があった。人相、つまり第一印象みたいなこと。忍者は、人が顔かたちから相手をどういう人物だと見るのか、その目安を習得していたという。行商人や僧侶らしい人相、または財布を交番に届けそうな人柄の人相に自分を変えることができた。さらに「読心術」のような能力ももっており、話が上手く、簡単にその土地の人になじむ。

「察天・察地・察人」三つの術を操り、忍者たちは依頼者の「Hey Sinobi…」に応えてきたのだ。

変装術の心得

忍術・変装

忍者は活動しやすい職業の人間になりすます。
忍者の変装は「七方出」といわれ、次の7つに化けるのが基本。

  • 虚無僧
  • 僧侶
  • 修験者
  • 行商人
  • 放下師
  • からくり師
  • 常の形(忍びではない、普段の姿)

職業としては6つ。虚無僧や修験者はどれも宗教者であり、自由に関所を通過できたため、最も忍者の変装につかわれていた。

放下師やからくり師は芸人であり、比較的自由が許されていたので、僧侶よりも大胆な行動ができる。

行商人は同じ土地を何度も訪れても不自然ではなく、また信用されれば長期的な調査をおこなえるメリットが。
忍びたちは任務や状況に合わせて変装をすることで成功率を上げていった。

これぞ忍びの技―「隠業」

忍術・隠業

隠業とはその名の通り「隠れること」。こっそりと暗躍する忍者には、隠業は最も大切な術のひとつだ。
忍者アニメのように、完全に姿が透明になったり、物と一体になったりはしない。拍子抜けするほどに地味なものが多いが、人の心理を突いた知的な術だ。数ある隠業のうち、おもに使われた3つの術を教えよう。

壱.うずら隠れの術

忍者が暗闇のなかで隠れる場所がまったくなく、敵に見つかりそうになったときに使われる術だ。その方法は、敵に尻を向けて頭を腕で覆い、地面の上に丸くなってじっとするというもの。

音や気配を相手にさとられないようにし、大胆に隠れる。
足元は注意がおろそかになるし、地面で人が丸まっているなんて普通思わない。顔をがっちり隠しているため、ウィルスにもかからない!完全防備の姿だ。

ただ今の時代でやってしまうと、電気をつけられて「何やってんだ」といわれるか、変な人という目で見られて終了。
電気がなく、夜は真っ暗が当たり前だった時代からこそ生きた術だ。

弐.紫隠れの術

キリや煙を出して隠れる術を想像したかもしれない。
とにかく、そのあたりにある物の物陰に隠れるのを「紫隠れの術」という。

こんなカッコいい名前をつけたのは、パニックになったときでも思い出せるように、術として常に認識しておくためだったようだ。つい戦いがちな某忍者マンガの主人公も、紫隠れの術と思えば、じっとできたかもしれない。

参.木の葉隠れの術

木や灯篭があったとき、その陰に隠れ、片膝をついてやり過ごす術。立っているほどは目立たないうえ、チャンスがあれば、いつでも動き出しやすいというメリットがある。

隠れ鬼ごっこをするときは、片膝をついてやり過ごそう。

忍術・͡木の葉隠れの術

逃げるが勝ち――遁業

忍術・遁業

忍者は必ず情報を持ち帰らないといけない。敵に見つかったら、「たたかう」ではなく「にげる」を優先する。そのための術が「遁術」だ。ポケモンとちがうのは、「にげる」ほうがレベルアップしていくことだろうか。

遁業は隠業と組み合わせでおこなうことが多く、逃げながら隠れ、隠れながら逃げ場を探す。
有名な火遁、水遁、菱捲き退きの術をご紹介しよう。

火遁の術!

火気を利用して逃げる術だ。火の玉を出して相手を焼却する技ではない。
火薬をつかって煙幕をはったり、煙を相手の目に入れて視力を損なわせる方法がある。または爆竹で相手を驚かせて、その隙に逃げるのも火遁の術だ。

水遁の術!

多くの人が水の中に潜り、竹筒で息をしながら逃げるのを想像するだろう。しかし、忍者たちにとって水に潜るのは最終手段だった。

水の中に入ると当然、衣服がずぶぬれになり、陸に上がったときに面倒だ。人に見られれば怪しいと思われるし、替えの衣類はもっていない。濡れた体が冷え、自由な行動もできなくなる。夏か大ピンチのときにしか使えない技だ。

それよりも使われたのは、池に石などを投げ込み、敵に「忍者が水の中に飛び込んだ」と思わせ、その隙に逃げる技。もちろん小石などでは意味がないから、あらかじめ忍者は逃走路に少し大きな石を用意している。

水遁の術

菱捲き退きの術!

遁業としてはポピュラーな、まきびしを使って逃げる術。逃げながら撒くのではなく、逃走路に置いておくことだ。長い糸をつけて、まきびしを引きずりながら逃げることもあった。

家のどこかに忍者がいる――潜入業

すっと敷地内に入り込み、情報を得る。潜入のプロの忍者は、心と体、両方の面で相手の隙をつく潜入方法を心得ていた。これは今も使えそうだが、マネしてはいけない。

壱.音を立てないようにする―忍び足

忍者がおこなう忍び足は、小指のつま先からそっと地面に下ろし、ゆっくりと足をつける歩き方。落ち葉など足音が出やすいところでは、バレリーナのように下ろす指を先端から地面につける「浮き足」という術もあった。

マスタークラスの忍者は「深草免歩」という歩き方ができた。手の甲の上に足を乗せて歩く方法だ。
もっとも足音が出にくいが、それだけむずかしく、かなりの修行が必要だった。体重が軽く、柔軟力もあり、手が強くないとできそうもない。

弐.心理的作戦―入虚の術

「虚」のときを狙え!忍び込むときに、人が油断したり疲れたりする「虚」のときに忍び込むという心理的な心得。

お祝い事の明け方や、病気で寝込んでいるときの夜、ゲームの最終ボスを倒した日の夜ど、思わず人の気が緩むのをねらって忍び込む。
戦で城の警備が手薄になるときの心得もある。

参.かつての回線――伝達の術

忍者は光回線のごとく、仲間へ情報を速く伝えるために、「石置き」「結縄」など石や縄、5色の米粒(五色米)をつかい、暗号にして伝えた。
「のろし」や「手旗信号」などで遠くの仲間に伝えることもあったという。

これぞ非接触。友達や家族でやってみよう。「今日テストで0点とったよ」「最近、父の髪うすい気がする」と喋れないようなことも伝えられるぞ。

忍者たちが使っていた秘薬

忍術・秘薬

毒草、薬草の知識も豊富だった忍者。自身の体を強化したり、治癒力を高めたりするものがあった。どこにでも生えているドクダミはそのまま食べても鎮痛効果があり、キハダという木の皮でつくった薬は腹痛や下痢止めに最適。
もちろん相手を死に至らしめたり、精神を崩壊させたりという危険なものもある。

1度飲めば7日は飲まず食わずOKな薬

有名な忍者、服部半蔵家に伝わる秘伝書『忍秘伝』には、薬草や毒草の知識がたくさん載っている。そのひとつ「仙法妙薬」は、心身の安定や疲労回復に良いとされていた。

作り方

  1. 黒大豆5斗の皮をむき、水で何度も洗って乾かし、粉にする
  2. 麻の実3斗を粉にして①と混ぜる
  3. こぶしの大きさの団子にぢ、ビンに入れて蒸す
  4. 子丑寅三時、卯の上刻にビンから出し、午の刻にて乾かして完成

これは麻の実に含まれる麻薬のような成分をつかったものだと思われる。戦時中は、戦闘力を上げるような怪しい薬はめずらしいことでもなく、忍者も同じだった。

この仙法妙薬を飲むと、7日間は飲まず食わずでもしげるという。副作用はわからないし、とても危険なものだから、決してつくらないように。

ターゲットを発狂させるヤバい薬

秘伝書『萬川集海』には、敵を滅する、とんでもなくヤバいが薬が記されている。麻の葉をつかった「阿呆薬」という。

阿呆薬は麻の効果をつかって、ターゲットを発狂させる薬だ。死ぬよりも苦しいかもしれない。

ただ毒は人よりも番犬に使うことのほうが多かった。音やニオイで気づかれて、吠えられると侵入できないからだ。
今のネズミ退治にもつかわれている「ストリキニーネ」という成分を入れたものを犬に食べさせ、死に至らしめる。静かに任務を遂行することができたため、非常に使われたという。

薬の術を最も得意としていた甲賀忍者

薬草や毒草をもっとも得意としていたのは、甲賀忍者だったという。
そのため忍者が衰退し、平和な世の中になっていくと、甲賀は忍びの里から一転して、薬売りの多い土地となった。

ちなみに甲賀は今でいうと滋賀県になる。
現在の製薬会社も滋賀を発祥とするところが多い。なかでも甲賀市は、滋賀県の製薬会社40社のうち、10社が集まる一大集積地となっている。
甲賀忍者を源流とする、現代の忍者たちが活躍しているのだろう。

甲賀忍者と滋賀県

参考:くすりの博物館をゆく 第8回 甲賀市くすり学習館

参考図書:忍者ー最強伝説ー: 戦国時代に暗躍した最強の特殊部隊 Amazon

人気記事

1

Redditはアメリカ版2ちゃんのようなサイト。米版2ちゃんに投稿されたなかから、3人の怖い話をご紹 ...

世界の怖い人形たち 2

キュートともいわれるし、一部では怖いとも思われているエルモ。海外では子どもへのギフトによく選ばれてい ...

山の中の怖い話 3

登山、ハイキングなど山や森に入った人のうち、毎年300人近くが行方不明となっている。令和元年の行方不 ...

怖い話 4

この投稿はパスワードで保護されているため抜粋文はありません。

深海生物 5

海の奥底に、何がいるか想像できるだろうか?脳や臓器がなくても生きている不思議なもの、エイリアンのよう ...

-遊び

© 2021 INZY:インジー