自分よりも良い点数をとっていたり、先生や友達に好かれていたりすると、なんでアイツが!とイライラしてしまうことがありますよね。または、なんだか無性にムカついて、相手に冷たく当たったことはありませんか?
できればイライラしたくないし、嫉妬とか気にせず、勉強や部活に集中したいですね。
ジャマな嫉妬はどうして起こるのか、嫉妬を一瞬で消す方法をご紹介します。
どうして嫉妬してしまうのか?

まず「嫉妬するな」と言われても無理です。トイレに行くなと言っているようなもの。
嫉妬するのは当たり前のことです。自分はひどいことを思っている…と自分を責める必要はありません。
では、どうして嫉妬してしまうのか、理由を見ていきましょう。
嫉妬は動物的な反応
犬を見るとよくわかります。人をすごく好きでも、ご飯を食べているときに突然ジャマされたら怒りますね。飼い主がほかの犬をかわいがっているときも、犬を威嚇したり、飼い主にかまってと寄ってきたりするでしょう。
これは本能的に、誰かに「奪われる」と感じているからです。ご飯や愛情をほかのものに奪われるから怒ります。
犬にとって、ご飯を奪われると生きていけません。愛情も同じく、愛情を奪われると大切に育ててもらえません。自分の危機にたいして本能的に、奪うものへ敵意を向けています。
人も同じで、良い点数をとったり、先生や友達に人が好かれているとイライラするのは、ほかの人に「ほめられること」や「自分に向けられる関心」を奪われたと思うからです。
何かを奪われたと思わなければイライラしません。
嫉妬は奪われたことにたいする、本能的な発作のようなものです。
孤独を感じているから
「愛情や注目を奪われる」ことにたいして嫉妬するものですが、嫉妬をさらに強めるのは「孤独」です。
ほかの人によって愛情や注目を奪われたことで、自分が孤独になることに強い恐怖を感じています。群れで生きてきた動物にとって、孤独は危機と同じです。
けれど、嫉妬しているのが伝わると、まわりの人は離れていきますよね。
「なんか、この子、いつも不機嫌…」とか「悪口ばっかり言ってる…」とまわりに評価され、離れていき、ますます孤独を感じることになります。
そして自分がもっと注目されなくなり、ほかの子が注目されているのを見ると、また嫉妬を感じる、という悪循環が起こります。
自分より下の存在だと思っているから
人は無意識に、自分より相手は上、自分より下と順位をつけています。
嫉妬は自分より下だと思った相手にだけ働きます。
イチロー選手に嫉妬する人はいませんよね。
けれど、自分より年下のスポーツ選手が、インタビューで「僕なんてまだまだです、これからも頑張ります」と謙遜している。
テレビで見たとき、なんだコイツ、と思う人もいるでしょう。
イチロー選手が発言をすると賞賛されるのに、若い人が謙遜した発言をすると、ムカつくと思う大人が多いものです。
年齢が下というだけで、どこかで自分より下だと思っているんですね。
友達も同じで、テストや部活で良い成績を出すと、「なんでアイツが」とか「ムカつく」と思うのは、どこかで、「環境や状況さえ整っていれば、自分のほうが良い成績が出せたのに」と考えているから。
人の順位を無意識に決めているから、嫉妬してしまいます。
ほかの人の嫉妬の可能性
なんだかムカつく、と思っていることが、本当は自分の思考ではないことがあります。
相手が笑顔で普通のことを言っているはずなのに、なんだかイライラするな、この人好きじゃないな、と感じることがありませんか?
相手が頭の中にたまっているストレスが伝わってしまうからです。これは脳の中にある、「ミラーニューロン」という神経細胞が関係しています。ミラーニューロンは、相手に注目しただけで、相手の脳の状態をマネてしまう細胞です。1996年にイタリアの脳科学者によって発見されました。
友達が「みんなの前で発表するの、すごく緊張する!」と発表前に愚痴ってきたときも同じ。
自分が発表するわけじゃないのに、友達に注目していると、なんだか自分もドキドキしてくることはありませんでしたか?
誰かがホメられていて、「ムカつく!」と思ったとき、もしかしたら、あなたの友達やまわりにいた人の感情がうつってきただけの可能性があります。
嫉妬から解放されるとどうなる?
嫉妬しているときの顔は老けていて仏頂面に見えます。仏頂面の人と友達になりたいと思う人はいますか?
また嫉妬は、あなたもイヤだと感じているように、まわりの人もイヤです。だからミラーニューロンが働いて映らないように、普通の人は嫉妬する人へ近づこうとしません。
すると集まってくるのは、似たような仏頂面をしていて、人に嫉妬して悪口を言っているような人たち。
そして、そんな人たちと友達になると、足の引っ張り合いになります。みんな自分より上が許せないから。
ハブられるのが怖くて、テストで良い点数をとっても必死に隠したり、目立たないようにしたりしないといけません。
表情・人間関係・人生が変わる
嫉妬から解放されると、まず仏頂面が変わり、自然な表情になります。すると同じく自然な表情をした人たちが避けなくなります。
何かのきっかけで仲良くなれるかもしれません。
嫉妬を感じていない人と仲良くなると、足の引っ張り合いはありません。
お互いに良い成績を残そうと思いっきり競うことができますし、アドバイスして高め合うことができます。
嫉妬して悪口を言ったりツイッターに呟いたりしていた時間を、勉強や部活に費やせるようになります。嫉妬していたときよりは、良い成績が出るでしょう。
成績が上がっていくと、自信がつきます。どんどん勉強や部活などに夢中になって、まわりの視線が気にならなくなります。
視線が気にならなくなると、嫉妬を感じている他人からの影響を受けにくくなります。注目していないから、ミラーニューロンは働きません。
このように、嫉妬に悩まされている人と、自分のやりたいことに夢中になっている人では、人生がちがってきます。
嫉妬から解放されると、人生が変わるといっても過言ではないのです。
嫉妬から解放される4つのステップ

嫉妬から解放されるために、4つのステップを踏みましょう。
①嫉妬していることに気づくこと
嫉妬してムカついている人は、自分が嫉妬していることに気づいていません。
たとえば部活動で、先輩Aと、マジメで良い成績を残していてコーチからもよくホメられる後輩Bがいたとします。
先輩Aは練習している後輩Bに向かって、「もっと練習しろよ!」と怒ったり、ほかの人では怒らないのに後輩Bの小さなミスだけ、めちゃくちゃ怒ったりします。
まわりから見たら、「あの先輩、八つ当たりだろ…」とか「後輩に嫉妬してんの、ダッサ」とか思うでしょう。
ところが、先輩Aは
「コーチにホメられるなら、もっとしっかりしないとだめだろ!」
「まわりが後輩Bに甘いから、俺が言ってやってるんだ!」
と思っています。
嫉妬するとき、人は無意識に「正当化」してしまいます。
「あなたのために言っているんだ」とか「間違いを正してやりたい」とイライラします。
「間違いを正してやりたい」と怒ること自体は悪くありません。
ただ後輩Bはなにか間違ったことをしているのか?と聞かれたら、本当に熱心に部活をやっているだけですよね。
本人はわからなくても、まわりから見たら、先輩Aのことを「ダサい」と思ってしまうぐらい、ハッキリわかります。
じゃあ自分で嫉妬に気づくにはどうしたらいいのか。
「アイツを正したい」「アイツやまわりのために言っているんだ」とイライラしたときは、本当に自分の言葉通り、アイツが行動を変えたところを思い浮かべてみましょう。
行動を改めたあと、アイツとの関係は良くなりましたか?
悪くなりましたか?
アイツやまわりとの関係が悪くなった、と思うなら、それは間違いなく嫉妬です。
②嫉妬に気づいたら何もしないことが大切
自分を客観的に見て、「あ、嫉妬してるかも」と気づいたら、できるだけ何もしないことです。
イライラして相手やまわりに当たると、人が離れていき、孤独を感じて、ますます嫉妬深くなります。
友達や誰かに相談するのも、おすすめしません。まわりが「確かにアイツムカつくよな!」と言えば、気はまぎれますが、あなたに集まってくる人が悪口ばかり言う人になり、足の引っ張り合いや傷のなめ合いが始まります。
または「大丈夫?大変だね?」と同情してくれる友達もいるでしょう。
ただ残念なことに、哀れみや同情では、嫉妬は治りません。
哀れみや同情は上の立場の人が下の立場に向かってするものだからです。
嫉妬を感じているときは、見下されることに敏感になっています。同情や哀れみの言葉は、「本当だよ!なんでアイツが!!」といったように、嫉妬を強めるだけです。
だからこそ、嫉妬には、できるだけさわらないようにすることが大切です。
発作やケガと同じで、さらわないようにすれば治っていきます。
③本当に自分の嫉妬かどうか疑ってみる
ミラーニューロンのせいを疑ってみましょう。
イライラにたいして、「本当に自分がイライラしていること?」と自問してみます。
ちがうかもしれない、と感じたら、「じゃあ誰がイライラしてるの?」と聞いてみます。
頭に浮かんだ「あの人」が、嫉妬でイライラしています。
自分が嫉妬してるんじゃなかったんだという安心や、「ああ、あの子も嫉妬でイライラするんだ」という発見もあり、嫉妬の発作がおさまるでしょう。
④10年後の自分をイメージしよう
嫉妬を起こしているときって、「幼稚園児みたい」って思いますね。
その通りです。嫉妬しているときは脳にストレスがたまり、記憶を整理している脳の部位「海馬」を刺激し、傷つけてしまいます。
記憶を整理している部位が傷つくことで、「子どもの頃の記憶に戻ってしまう」現象が起こります。
そのため嫉妬しているときは、ずるい!ムカつく!いじわるしてやろう!と、幼稚園児のような精神状態になってしまいます。
さらに、身についた知識(ヘリクツ・言い訳)が、良い感じに嫉妬を正当化するので、幼稚園児よりも厄介。
脳への刺激を止める方法はないのか?
あります。
「未来の自分の脳をマネすること」です。
「アイツ、ムカつく!」と思ったとき、「10年後の自分だったら?」と考えてみましょう。
10年後も、アイツにムカついていますか?
むしろ10年後の自分は、アイツと関係がない、ほかのことをやっていて楽しそうじゃないですか?
10年後の自分が別のやりたいことをやっているのを想像すると、嫉妬のイライラがすスッとおさまったりします。
前述しましたが、ミラーニューロンにより、人は脳と脳でつながっています。けれど、現代の科学では、どれぐらいの速さでつながっているか、どうやって相手の脳を感じ取っているかはわかっていません。
ということは、もしかしたら「光よりも速くつながっているかもしれない」「光よりも速いなら、時空を超えるかも」「時空を超えたら、未来の自分の脳を感じ取ることができるかも」という可能性が見えてきます。
だから10年後の自分が考えていることを想像すると、自然と10年後の脳をマネることができ、冷静になります。幼稚園児のような脳から、大人の脳に戻るということです。
落ち着いて考えられるようになり、今まで見えなかったものに気づくことも。
まわりも自然と寄ってくるようになり、孤独感がへって、嫉妬の発作が止まります。
嫉妬でイライラしたときは10年後の自分、20年後の自分…と落ち着くまで、想像してみてください。
以下、4つのステップをまとめます。
嫉妬から解放されるには、
①嫉妬していることに気づくこと
②まわりに相談したり、相手やまわりにイライラしたりしないこと
③自分の嫉妬なのかどうか疑ってみる
④10年後の自分だったら?と考えてみよう
嫉妬から解放されて、自分のやりたいことや、好きなことを、夢中になってやりましょう!
嫉妬があると、劣等感もつきもの。劣等感を一瞬で消す方法も紹介しています。
参考図書:消したくても消せない嫉妬・劣等感を一瞬で消す方法ーamazon